おててがくりーむぱん2
食事が終わると、二人は並んでレストランを出た。
東京の夜。ビルの窓とネオンの明かり。
通りには、ひっきりなしに車が通る。
夏の息苦しさは、穏やかに吹く夜風で、和らいでいた。
「システムのことが分からなくなったら、直接俺に電話してもいいよ」
「うん、野島さんにそう言っておく」
佑司は少し躊躇して、それからそっと光恵の手を取った。
光恵は顔を上げ、佑司の困ったような顔を見上げる。
「あの時できなかったお別れを、ここで」
「うん」
光恵は頷く。
通りの真ん中で、佑司は優しく光恵を抱き寄せた。
あ、この匂い。
懐かしい、彼の匂いだ。
光恵はじんわりしてくる目を、佑司の肩にくっつけた。
泣いちゃいそう。
光恵は唇を噛み締めた。
「大好きだったよ」
「うん、わたしも」
「幸せに……」
「うん」
佑司の腕に力がはいる。
光恵は思わず彼に腕を回した。
さよなら。
これで本当に、さよなら。
「さよ……」
光恵が口を開きかけた瞬間。
どーーーーーん。
目の前の佑司が、吹っ飛んだ。