おててがくりーむぱん2
「あの……」
後ろから声をかけられて、佑司の存在を思い出す。
「あっ、ごめん。これはね……、ほんと、なんていうか」
光恵は佑司に歩み寄ろうとするが、再び孝志に引っ張られた。
思わず孝志をにらみ上げる。
「佐田孝志」
佑司が目を凝らして、孝志の顔を見つめている。
光恵はなんとかごまかそうとする。もうパニック寸前だ。
「あ、そっくりさん。そう、似てるの」
「え? いや、でも……」
佑司が首を傾げている。
「佐田ですよ! それよか、僕のミツと、どんなご関係ですか!」
はあ?
何、自分で名乗ってんの?
光恵はつい「馬鹿!」と声を上げた。
「馬鹿っていうなよ」
「だって、ほんとに、なんでこんなこと……」
光恵は頭を抱えた。
佑司は二人の姿を見比べて、それから「そっかあ」と笑いだした。
「そうだよね、劇団が一緒だったんだ。付き合っててもおかしくない」
光恵はうなだれた。
結婚を秘密にするはずが、すでにばれてしまった。
どうすんだ、これ。
「だから、人に紹介できないんだ。そっか、そっか」
佑司は納得したというように、うんうんとうなづいた。