おててがくりーむぱん2


「僕は、大学時代の同級生で、以前光恵と付き合ってたんです」
佑司はポケットから名刺を取り出すと、佐田に手渡す。


「鈴木佑司です」


孝志は名刺を受け取ると「元カレ」とつぶやいた。


「はい、でも光恵とはもう別れました。随分前に」


佑司がそう言うと、孝志が「光恵って、呼び捨てにしないでください」と怒ったように言った。


「あ、すいません」
「俺だって、光恵って呼んでないのにっ」
「……呼べばいいじゃないですか」
佑司が言うと、「だって、恥ずかしくって」と孝志が顔を赤らめた。


佑司は目をまんまるにして、孝志の様子を見ている。


「み、み、光恵……さん。うおぅ、ほんと照れる」
孝志が自分の髪をもしゃもしゃとかきむしった。


「みつ……あ、皆川さん、彼と結婚するの?」
佑司は圧倒されながらも、光恵に訊ねる。


「えっと、ははは」
光恵は笑うしかない。


「結婚しますよ、なんで知ってるんですか?」
孝志はまだまだ好戦的だ。


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