おててがくりーむぱん2
「わかった、そっか。光恵がいいなら、いいよ」
「あっ、また呼び捨て」
孝志が横やりを入れる。
佑司はくすっと笑って「もし助けられることがあるなら、いつでも言って。協力するから、皆川さん」と言った。
「ありがとう」
光恵は頭を下げる。
「じゃあ、また」
佑司が手を上げる。
「『また』はありません!」
孝志がしつこく口を出してくる。
「うるさいなっ、もう! 孝志黙ってて」
光恵はとうとう孝志に怒った。
「えー、だって」
「誤解なんだから、彼に謝ってよ」
孝志は不服そうな顔をしたものの、素直に「すいませんでした」と謝った。
「いえ、こちらこそ。誤解させるようなことをしてしまって、すいませんでした」
佑司も頭を下げる。
「じゃあね、今日はごめんなさい。ありがとうね」
「うん、じゃあね」
佑司はくるりと背を向けると、駅の方へと歩き出した。
人ごみの中、スーツの背中が小さくなっていく。
光恵はとりあえず、ほっとした。