おててがくりーむぱん2
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ミツはああ言ってたけど。
孝志は、腕の中で静かな寝息を立てている光恵の頬に、愛を込めてキスをする。頬は柔らかくて、ほのかにピンク。耳に掛けた髪がくるんと巻いているところも、最高に愛しい。
自信がない。
どんなに仕事をしても、どんなに賞賛をもらっても。
光恵が離れるかもしれないと思うと、我を忘れてしまう。
あの元カレ。
多分、結婚したっていう、あいつだ。
そんなに心配することはないか?
孝志はそう考えてから、頭を振る。
いや、不倫ってこともあり得る。
あいつの目。
絶対にミツに未練がある。
孝志より少し身長が低くて、髪はふわふわ。
眼鏡をかけてて、笑うとえくぼが見えた。
俺とぜんぜんタイプが違う。
明らかに、俺より、随分と頭がよさそうだ。
孝志の眉間に皺が寄った。
結婚は光恵を離さないための手段。
自信がない自分への、保証。
孝志の中にある焦りと不安は、時間とともに大きくなって、破裂しそうになってくる。
あいつにもう一度念を押しておこう。
光恵に二度と近寄らないように。
孝志はそう決めると、目を閉じて、再び光恵の頬にキスをした。