おててがくりーむぱん2
「先日は失礼しました」
「いえ、でもびっくりしました。皆川さんの相手が、あなただなんて」
孝志は微笑んで見せた。
「彼女とは、劇団で知り合って、付き合って一年です」
「そうですか」
「彼女とは真剣に交際していて、近々結婚もする予定です」
「そのようですね」
「余裕のない男だと思われるかもしれませんが、僕は彼女を独占したい」
「わかります」
「だから、彼女への連絡はなるべくしないで欲しいんです」
佑司が孝志の目を見つめる。
それから一口コーヒーを飲んだ。
「それは、僕が、彼女を誘うと考えていらっしゃるからですか?」
「……違うんですか? あなたは結婚されてるけど、彼女を見る目に未練が見えた」
佑司は微笑むと「さすが、観察眼がありますね」と言う。
「確かに、まだ彼女を愛しています」
孝志のチキンな心臓が、不規則に動き出した。
ここで元カレの息の根を止めないと、とんでもないことになる!
「結婚しているのに?」
「離婚しました。彼女が忘れられなくて」