おててがくりーむぱん2
「その人に特定の女性が現れたら、皆落胆すると思いますよ」
孝志は動揺を隠すため、コーヒーカップを手にする。
少し冷めた、苦い水。
うまくもなんともない。
「仮に僕が彼女を守れないとしても、彼女があなたに振り向くとは思えない。一度終わっているのだから」
孝志は佑司を必死に言いくるめようとする。
このままでは、ミツを奪おうと、全力で来るにちがいない。
「知ってますか? 初めての男って、案外忘れられないもののようですよ」
初めてのオトコ!?
孝志は完全に顔が青ざめる。
そうか。
最初のオトコ!
やばい、マジで。
「僕には彼女が初めてのオンナです!」
「え?」
佑司の目が丸くなる。
ああ、失敗した!
とんちんかんなこと言っちゃった!
孝志の「大人の男」像が、悲しくも崩れ落ちてゆく。
「そうですか」
佑司がにやりと笑う。「じゃあ、光恵を離したくないですよね」