おててがくりーむぱん2
ちょうど二十分後、佑司は来た。
「あれ、野島さんは?」
「帰っちゃった」
光恵はなんとも情けない気持ちでいっぱいで、「ごめんなさい」と佑司に謝った。
「いいよ、別に。じゃあ、どうする?」
「わたしに聞いとけって」
「でも、光恵は講師だろ?」
「強制的にシステム担当にさせられちゃった」
光恵は溜息をついた。
「そっか。そりゃ大変だ。でも、俺的にはうれしいけど」
佑司はそう言って、コンピュータの前に座る。
「何ができないって?」
「ここに書いてある、ほら、これがおかしいって」
光恵は、マニュアルに汚い字で走り書きされているものを、指差した。
「ん? あ、これ?」
佑司はすぐに分かったのか、半ば笑いながらあっという間に画面を切り替えた。
「野島さん、最初にこっち登録しなくちゃいけないのに、飛ばしちゃってるからできないんだよ」
「そうか……」
光恵はしばらく、佑司の説明する操作方法を聞いた。
聞いてしまえばなんてことはない。
どうして野島があんなに悪戦苦闘していたのか、理解できないくらいだ。