おててがくりーむぱん2
撮影当日。
少し寒さを感じるくらいの気温。車から降りると、志賀に続いてスタジオに入る。
「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
出迎えたスタッフに孝志は深く頭を下げた。
スタッフの後ろに続いて、階段を上る。そのまま控え室へと入った。
白っぽい蛍光灯の下では、なじみの衣装スタッフが、撮影で着るスーツを何着か持っている。
いつもの手順。
メイクをして、衣装を着る。
撮影のコンテを読んで、台詞を口の中で唱えた。
そこでノックする音。
志賀が開けると「今日はよろしくお願いします」と、見覚えのある顔が頭を下げた。
「……進上さん?」
孝志はやっとのことで名前を思い出し、そう呼びかけた。
「佐田さん、お久しぶりです」
進上が頭を下げ下げ部屋にはいってくると、その後ろに佑司が続いて入って来る。
あいつ、やっぱり俺の仕事場にまで。
負けないぞ。
孝志の背筋がのびた。