おててがくりーむぱん2


「いやいや、やっぱりご縁があったんですね」
ご機嫌な進上は、孝志と志賀を交互に見ながら、言う。


「進上さんが推してくださったお陰です」
孝志は立ち上がり、進上に頭を下げた。


「わわわ、佐田さん、頭なんか下げないでくださいよ。佐田さんが出てくれたら、うちの商品も大ヒット。本当にありがたいです。な、鈴木」


言われた佑司も「はい」と頷いた。


相変わらず、あいつはさわやか風だ。
ミツはあいつのどこがそんなに好きだったんだろうな。


そこに再びノックの音。


「すいません、進上さんここにいらっしゃいますか? 電報社の佐々さんが探していらっしゃって……」
ドアの隙間から顔をのぞかせたスタッフが、遠慮がちにそう訊ねる。


「おっと、すいません。呼ばれちゃいましたね。じゃあ、今日、よろしくお願いいたします」
進上が慌てて出て行こうとすると、志賀も「佐々さんに少しお話があるんですよ」と言って、一緒に立ち上がった。


あいつは?


佑司はその場所から動かない。


ちぇ。ここに残るんだ。


孝志は小さく溜息をついた。


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