おててがくりーむぱん2
「おつかれさまでした」
孝志は警戒心をむき出しにしながら、佑司にそう言った。
「大変ですね、こんなに時間がかかるんだ」
「……そうですよ」
「ほんと、佐田さんって、すごいなあ」
佑司が感心したように、うんうんと頷く。
「ありがとうございます」
孝志は一応お礼を言って、それから「なんでずっと笑ってたんですか?」と訊ねた。
佑司はそう言われて「あ、すいません」と口に出す。それからまた、声を出さずに笑い出した。
「だって、あまりにも別人で。カメラが回ると目つきが変わる。誰かが取り憑いてるのかと思うくらい」
「……それは、褒めています?」
孝志は眉間に皺を寄せて、いぶかしげに佑司を見た。
「褒めてます。僕は、佐田さんのこと、好きになってきた」
「……ありがとうって言った方がいい?」
「たぶん」
佑司はそういうと、また笑った。
「じゃあ、彼女の件、手を引いてくれます?」
孝志は恐る恐る訊ねてみた。
「いや、それとこれは別。彼女には誠意を尽くすつもりですから」
佑司はそう言うと、にこりと笑った。
くそー、コノヤロ。
顔を歪めた孝志を見て、佑司はうれしそうな顔をした。