おててがくりーむぱん2
3
金曜日の夜九時半。
とてもうれしそうな白鳥先生と、その飲み友達という女性一人と一緒に、待ち合わせのお店まで歩く。
白鳥先生はアラフォーだ。けれどあまり年齢を感じさせない。かなり美容に気を使っているのだろう。肌は白いし、つやつやしている。今日は喜びでその頬が、ほんのりとピンク色に染まっていた。
飲み友達の女性も、白鳥先生とよく似ている。類は友を呼ぶとはまさにこのこと。彼女の方が少し髪が短く、おっとりとした雰囲気を醸し出している。けれどひとたび口を開くと、弾丸のように言葉が出てきた。
名コンビ。
「何歳くらいのお友達を連れてくるって?」
「……さあ」
光恵は首を傾げた。
正直、この件について、深く佑司と話をしたことはない。お店の予約をしただけだ。
光恵の胸には複雑な感情が溜まっている。結局、孝志には言えなかった。荒れる様子が目に見えるようで、とてもじゃないけど口に出せない。下手したら「俺もいく」とか言いだしそう。
「それ、絶対だめ」
光恵は思わず小さく口にだした。
「なにが?」
白鳥先生が顔を覗き込むように訊ねてきたので、「いえ、なんでもないです」と首を振った。
とにかく今日を乗り切ろう。
光恵は固く決意した。