おててがくりーむぱん2
「じゃあ、ちょっと自己紹介させてください。こちらは先輩の佐藤さんと、同期の高山。二人ともキャノルの営業です」
「よろしく」
二人が頭を下げた。
「白鳥あかねです」
「吉田かおりです」
佐藤と高山は、スーツがよく似合っていた。佐藤は少し頬がふっくらしていて、穏やかな印象。対照的に高山は、切れる男という感じだ。
そこから和やかに宴会がスタートした。婚約を祝うという名目だったので、最初こそはなれそめやプロポーズの言葉などを聞かれたが、すぐに合コン状態へと突入した。
光恵はお刺身のつまを大葉で巻いて、ひたすらに食べる。とにかくこの場をやり過ごす、それが一番肝心なのだ。発言は控えめに。ぼろが出たら、大変だ。佑司も光恵の気持ちを分かってか、変に話題を振ったりもしない。ただ向かいに座って、みんなの話を盛り上げていた。
そこに携帯の鳴る音。
鞄からスマホを取り出すと、孝志からだった。
これは、とりあえず、無視。
光恵は再び鞄にスマホを仕舞う。
また電話。
無視。
また電話。
無視。
また電話……
って、しつこい!!!