おててがくりーむぱん2


「皆川先生とお知り合いだっていうのは知ってたんですけど、鈴木さんとも?」
白鳥先生の声が、一段と高くなっている。


「はい、この二人とは長い付き合いですよ」
孝志はしれっと嘘をつく。これだから役者は、信用ならない。


「僕はビールもらおうかな」
光恵の方を向き、にっこりと笑顔を見せる孝志。


光恵は孝志の太ももを、思いっきりつねった。


あ、でも、顔色一つかえない。
役者って、ほんと、信用ならないわ。


光恵は憮然として、再びお酒を飲んだ。


合コンのような雰囲気は一変してしまった。二人の男性は黙り込み、どんどんとお酒の量が増えて行く。女性二人の視線は、常に孝志に向けられているからだ。たとえこの女性たちに興味がなかったとしても、男性陣は面白くないだろう。


光恵は溜息をつきながら、再び孝志のももをつねった。


まるで佑司とは旧知の仲のように、孝志は親しげに振る舞う。佑司もうまいもんで、孝志との会話にぎこちなさはない。

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