おててがくりーむぱん2


「ミツ、隠し事はなしだって、約束したよ」
「……うん」


再び孝志を見上げると、真剣な顔。
あ、怒ってるんだ。


「ごめん。言いだせなくて」
「どうして?」
「だって、きっとこうやって、来ちゃうってわかったから」
「……あいつと一緒で、しかも婚約者の振りまでしてもらって、それでおとなしく家でなんか待っていられない」
「う……ん。だよね」


光恵は再び下を向く。
「どうして、今日のことを知ったの?」


「俺が佐田さんを、煽ったから」
後ろから声がして、光恵は振り返った。


「俺が、光恵の婚約者の振りをするって、言った。案の定、佐田さんは姿を見せた」
佑司は少し怖い顔をして、孝志の顔を見ている。


「あなたは来るべきじゃなかった」
「……お前に言われる筋合いはないだろ」
孝志も怒りを押さえているような、そんな声で返した。佑司から遠ざけるように、光恵をぐいっと引き寄せる。


「佐田さんは、自分の立場を分かっていない。光恵を幸せにするってことが、どういうことか、ちゃんと理解できてない」
「……」
「自分が現れて、どうなるか予測できない? どれだけ光恵が困るか、想像できない? 結婚を秘密にするんだろ? こんな風に感情で行動して、本当に光恵と家庭を守れるのか?」
「……」
「佐田さん自身が、結婚を破綻させる」





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