おててがくりーむぱん2
「本気?」
「うん、本気。それくらい、光恵を手放したくないんだ」
孝志はそう言うと、光恵の身体を引き寄せた。
彼の耳元に頬をつけると安心する。
鼓動がまるでゆりかごのよう。
光恵は目を閉じた。
「一生側にいたい」
「うん」
光恵はうなずき、それからそっと身体を離した。
「孝志は、今の仕事を辞めては駄目」
孝志の目を見つめながら、光恵は言った。
「孝志が一番輝くことのできる時間だもの。わたしのためにそれを捨てるなんて、そんなことしちゃ駄目」
「でも……光恵と普通の暮らしができない」
「ごめん、わたしの覚悟ができてなかった」
孝志の手を取る。
「あなたが側にいてくれるなら、誰からも祝福されなくたっていい。幸せを守るために、絶対に秘密を守る。その覚悟が今できた」
光恵は孝志に微笑んだ。
「結婚式も、披露宴もできないんだよ。ドレスだって着られないし、新居で一緒に暮らすことだって……」
「大丈夫。かまわないわ」
「光恵……」
孝志は再び光恵を引き寄せる。
「ごめん。本当に」
「いいの。自分で今決めたんだから」
「愛してるよ」
「うん、わたしも」
「幸せになろう」
「うん」