おててがくりーむぱん2
優しく唇を合わせる。
これがまるで、誓いのキスだというように。
目を閉じると、彼の存在しか感じなくなる。
腕を彼の首に回す。孝志も光恵の髪を誘うように梳いた。
とろけるような気持ちのまま、目を開ける。
そこに、白鳥先生の驚愕に満ちた顔が見えた。
「あっ」
おもわず孝志を押しのける。
孝志は驚いて「ええっ?」と声が出た。甘い気分だったところを突然引き離されて、戸惑っているようだ。
「違うのっ」
光恵はあわててそう叫んだ。
「え? やっぱり、結婚してくれないの?」
孝志は絶望感満載の顔を見せた。
「違う、そうじゃなくて、窓の外。白鳥先生がっ」
光恵は孝志の肩をべしべしと叩いた。
「ん?」
無防備に振り向いた孝志も「わ!」と声を上げる。
窓の外の白鳥先生は、くるりと背を向けると、塾の方へと走り出した。光恵も慌てて後を追う。孝志も車から飛び出した。