木曜日の貴公子と幸せなウソ
何か嫌な事でもあったのかな……?
私は首をかしげながら、エミちゃんと同じ視線の高さまでしゃがんだ。
「今日は何してきたの?」
「今日も折り紙!リボンを折ってもらったの!」
私の問いかけにニコニコしながら、折り紙で折ったリボンを見せてくれた。
最近よく、預かり保育から帰る子どもたちがこの折り紙のリボンに、細長く切った折り紙を貼り付け、輪っかにして腕にはめている姿を見かける。
エミちゃんも腕にそれをはめ、リボンは別にまた持っていた。
「そっか、良かったね!」
「うん。またパパと一緒に折るんだ」
「……そっか」
パパと一緒に……。
その言葉で、思わず先輩の方に視線を向けてしまった。
「エミ。先に教室に戻って帰りの支度しておいで」
「はーい」
私と目が合うと、先輩はエミちゃんにそう指示をした。