木曜日の貴公子と幸せなウソ
どうしたらいい?
どうすればいい?
私は今、どうなりたい……?
「萌先生?」
「……あ、はい!」
ペンケースを見つめたまま立ち尽くしていたら、教室の外から声をかけられた。
振り返ると、先ほどのジャージ姿ではなくスーツ姿になった有坂先生がいた。
体操教室が終わったから、有坂先生もスポーツクラブの方に戻るらしい。
「考え事ですか?何度か声をかけたのですが……」
「す、すみません。ちょっとボーっとしちゃって」
何度も声をかけられているというのに、気が付かなかっただなんて最悪。
仕事中だっていうのに……。
「お疲れ様でした。これからスポーツクラブの方に戻られるんですよね?」
「はい。でも帰る前に萌先生にちょっと……」
「何でしょう?」
有坂先生に手招きされて、私はドアのところまで移動する。