木曜日の貴公子と幸せなウソ


「萌先生が僕の事を警戒する気持ちわかりますけど。ちょっと卑怯な手を使ってしまったし」

「……本当に絶対に黙っててくださいよ?」

「もちろん。ただし、僕の相談には定期的にのって下さいね」

「相談……?」


そうそう。

その相談って一体何だろう?

切り出そうとしたら、カウンターに牛丼がのったトレーが並べられた。

……前に先輩とイタリアンを食べに行った時もそうだったけれど、何か私ってタイミングが良くない。


「あんまり長居できる場所じゃないんで、食べながら話すけど」

「あー、はい」


そばにあった七味を牛丼の上にかけて私は返事をする。

初めて食べに来た牛丼。

CMでよく見るけれど、目の前に置かれたらかなりおいしそうだ。

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