木曜日の貴公子と幸せなウソ


自分の気持ちよりも、先輩に言いたい事をぶちまけるのが先だ。

接触がなくなれば、私の気持ちなんかどうにだってなる。

好きだろうと嫌いだろうと、先輩が既婚者には変わりないんだから。

ごまかし続けて、心の奥底に追いやった気持ちだって、やっと成仏してくれるだろう。

グシャグシャになったメモを広げると、私は記載されていたアドレスに自分の番号とアドレス、最後に自分の名前を記入して、メールを送信した。

すると、すぐに登録していない番号からの着信。

メモに記載されている番号と一緒だった。


「……はい?」

『萌?本当にメールくれるとは思わなかったよ』

「……送らないとパスケース返してもらえなさそうですから」

『ハハハ。オレはそんなに意地悪じゃないよ』

「すでに意地悪の域を超えてます。嫌がらせって言うんです」


先輩の言葉にトゲのある言い方で返す。


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