木曜日の貴公子と幸せなウソ


本当に嫌がらせだ。

ささやかな復讐どころじゃない。

そもそも、自分の首だってしめている事にも気が付かないわけ?


「とりあえず無事に送信できたみたいでよかったです。仕事あるので電話切りますね」


棒読みで言って、切ボタンを押そうとした。


『あー、萌、ちょっと待って』

「……はい?」

『あの体操の先生と仲いいの?』


体操の先生……。

有坂先生の事か。


「あーそうですねー。仲悪くはないですけど」

『フーン。じゃ、明日連絡する』


私の答えを聞くと、先輩の方からプツッと電話を切ってしまった。

ツーツーとむなしく響く機械音。

私から先に切ろうと思っていたのに。


何となく負けた感じがして、腹が立つ。




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