木曜日の貴公子と幸せなウソ
でも、本当の事を言うわけにはいかないし……。
言うのなら有坂先生自身が夏江に直接言うべきだし。
「あ、そういう事なんだ?びっくりしたよー」
「ごめんね、急にこんな事言い出して」
「うん、わかった。来週、あけとくね」
怪しまれずに済んだ。
よかった……。
きっかけは作ったし、後は有坂先生次第。
オトナだし、学生の時みたいに妙な小細工は必要ないだろう。
上手くいく時は上手くいくし、ダメなときはダメ。
でも、どちらかと言えば、上手くいってくれるといいなぁって思うけど。
夏江と有坂先生、お似合いだと思うし。
「萌、今日空いてる?無理なら月曜日でもいいんだけど……」
「ゴメン。今日、ちょっと約束が……」
約束と言えるレベルのものなのだろうか?