木曜日の貴公子と幸せなウソ


私は深いため息をついて、目を伏せた。


「……7年前。萌はどういうつもりでオレと付き合ってた?」

「……どうでしょう。そもそも、そんな事今答えてどうするんですか?」

「いいから、答えろよ」


あまり気が進まない質問に、何とかはぐらかそうとしたけれど、それは許してもらえなかった。

苛立ったような言い方に、私も思わずムッとしてしまう。


「じゃあ、聞くなら先に先輩も同じ質問の答えを下さい。7年前、どういうつもりで私と付き合っていたんですか?」

「本気に決まってんだろ」

「……本気で遊んでいたっていう答えでいいですか?」


先輩の答えに失望した。

本気に決まっている……。

私が何も知らないとでも思っているのだろうか。

あまりにおかしくて、怒りを通り越して笑いが出てしまった。


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