木曜日の貴公子と幸せなウソ


もう子どもじゃない。

それにすでに7年の時が経過している。

先輩は既婚者で、もうすぐ3人目が生まれる父親。

今さら、何を聞いても傷つきはしない。


「期間限定の遊び相手だなんて、そんなわけないだろ。さっきも言ったけど、オレは本気で萌の事が好きだった。あの時も言ったけど、萌が入学してきた時から好きだった。可愛いと本当に思っていたんだ」

「……ありがとうございます」

「だから、付き合える事になって夜も眠れなくなるくらいオレは嬉しかった。……だけど、キミは急にオレの前から姿を消した。電話もメールも繋がらない。高校にも何度か顔を出した。でも、見つけられなかった。部活に入った事は知らなかったから、そのせいだろうな」


先輩がカチッとボタンを押して、私のシートベルトを外した。

ほぼ同時に先輩に抱き寄せられる。


「先輩、離して……」

「離すかよ。7年もたってやっと見つけられたっていうのに」


ギュッとさらに力は強くなる。

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