木曜日の貴公子と幸せなウソ
「オレは3年D組の成瀬邦章です」
「あ、はい。私は1年C組の二宮萌です」
成瀬先輩が言ったので、私も続けて返す。
「あ、えっと……。こんな場所で悪いんだけど、オレ、萌ちゃんの事が好きです」
「……はい?」
思わず大きな声が出てしまった。
すると成瀬先輩は困ったように笑う。
「あ、いや……。だから、オレ、萌ちゃんの事が好きなんだ。付き合っている人とか好きな人がいなければ、オレと付き合ってくれないかな……?」
……何の冗談だろう?
あー、もしかして、何かの罰ゲーム?
学園祭は今日で終わりだしね。
たちの悪いゲームで3年生は盛り上がっていたのかな?
「すみません、罰ゲームなら他を当たってもらえませんか?失礼します」
頭を下げてその場を立ち去ろうとした私。