木曜日の貴公子と幸せなウソ


私以上にソワソワしている夏江を見ていたら、自分がバカらしく思えて来たんだ。

ペンケースを手にして2人で教室を出て、電気を消した。


「ねえ、萌は貴公子とどうなの?」

「ど、どうって?」

「だって、昔の事じゃなくて、今現在も何かあるんじゃないの?有坂先生と貴公子の会話からしてそんな風に思ったけど……」

「ち、違うし!そ、そもそも、向こうは保護者だよ?」


一体どんな話をしていたというのだろう。

私は慌てて全否定をした。


「あー、でも、びっくりしたんだけど、貴公子ってエミちゃんのお父さんじゃないんだってね」

「……え」

「私、ずっとエミちゃんのお父さんだと思ってたよー」


それは私もそうだよ。

エミちゃんから聞いて本当に驚いたよ。

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