木曜日の貴公子と幸せなウソ


でも先輩は既婚者。

エミちゃんと血のつながりはなくとも、家族である事には変わりがない。


「あっ!」

「……ん?」

「メール来てる!もう待ってるって!」


スマホを確認していた夏江が小さい叫び声をあげた。


「あ、じゃあ急ぎなよ……」

「うん、そうする!明日、報告するからっ!」


落ち着かない様子で夏江は更衣室のあるドアに飛び込んでいった。

なんか女子高生みたいで可愛い。

恋をすると余裕がなくなる……。


「……」


私も何気なく自分のスマホを見てみたけれど、新着メールのお知らせはなかった。

別に、迎えに来てくれることを心待ちにしているわけじゃない。


「萌、おかしいところない?大丈夫?」


ゆっくりと更衣室に行くと、夏江はもう着替え終えていた。




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