木曜日の貴公子と幸せなウソ
「……こんな私でよかったら、どうぞよろしくお願いします」
そう言って頭を下げた。
「……え?それって、オレと付き合ってくれるっていう事?」
「……はい」
私がうなずくと、成瀬先輩は大きくガッツポーズをした。
「やったっ!マジ嬉しい!」
その表情は子どものようで、思わずクスッと笑ってしまった。
今まで、そんな表情は見た事なかった。
さっきの怖い顔もそうだけど、先輩の知らない部分が多すぎる。
「じゃあ、改めてよろしく。萌ちゃん……じゃなくて、萌でいいよな?」
「はい。よろしくお願いします」
名前を呼ばれたら、何だかくすぐったかった。
「今日、一緒に帰ろう。裏門で待ってる」
「はい」
「それと、今日から敬語禁止で」
「……え」
イタズラっぽく笑って、先輩は私の手をそっととった。