木曜日の貴公子と幸せなウソ
「体調不良なら家でしっかり休養しないとダメだろ。子どもたちにうつったらどうするんだ?」
「ごめん……なさい」
何で私が先輩に怒られなくちゃならないの?
……まあ、言われている事は間違っていないけれど。
「でも、風邪をひいたのはオレのせいなんだよな?昨日、オレの事を待っていたんだろ?」
「……待ってないです」
「ウソつくならもう少し上手くつけよ。お前が倒れた後、園長先生が言ってた。昨日、寒い中誰かを待っているようだったと」
「……」
園長先生に見られていたみたいだ……。
門から離れたところにいたんだけど。
「迎えに行くと言って、何も連絡できなくて悪かった」
「……先輩が謝る必要はないですよ」
「萌……」
先輩から顔をそむけるように、逆側を向いた。