木曜日の貴公子と幸せなウソ
「このまま萌と一緒にいたいけど、そろそろ教室に戻らないとな」
「そ、そうだね。私も片付け途中だし……」
「じゃあ、また後で。校門でな」
「……はい」
先に成瀬先輩が教室へと戻っていく。
その後ろ姿をいつまでも見つめていた私。
……夢、じゃないよね?
私、あの成瀬先輩に告白されて、付き合う事になったんだよね……?
今まで、自分とは違う世界の人だと思っていて、恋愛対象にした事がなかった。
だけど、急に成瀬先輩が私の世界に飛び込んできた事で、恋心は急速に動き出した。
さっき初めて言葉を交わしたばかりだというのに、胸のドキドキがおさまらないでいる。
まだまだ知らない先輩の事を、もっともっと知っていきたい。
心からそう思ったんだ。