木曜日の貴公子と幸せなウソ
確かに……。
成瀬先輩が私でなく、リサに告白して、付き合っていたとしたら、私も嬉しいかも。
自分の事のようにはしゃいで、喜んでしまうだろう。
「本当におめでとう。先輩との時間が増えても、私ともたまに遊んでね」
「もちろんだよ、リサ」
心から喜んでくれるリサに向かって私は大きくうなずいた。
こうして成瀬先輩との付き合いがスタートした。
校内で騒がれるのを懸念した先輩は、私との付き合いをオープンにする事はなかった。
裏門で待ち合わせたのもそのせい。
裏門は、駅やバス停に行くにしてもかなり遠回りになるし、自転車置き場も反対方向のため、ほとんどの生徒は使わない。
私としても少しありがたいかも。
だって、興味本位で騒がれるのは嫌だし。
色々な人から質問攻めにあうのも、考えただけでウンザリする。