木曜日の貴公子と幸せなウソ


「成瀬先輩はもう進路は決まってるんですか?」


先輩と一緒になったある日の帰り道。

手をつないで歩きながら、私はふと聞いてみた。

もう11月の終わりで、学校によっては推薦入試が終わって結果が出ているところもある。

センター試験を受けるのならば話は別だけど。


「ああ。もう決まってるよ。だから卒業まで、萌との時間を大事にできる」

「そっか……。じゃあ、期末試験も一緒に勉強できますね!わからないところ教えてもらってもいいですか?」

「もちろん。しっかり萌のサポートするよ」


そう言ってもらえると、安心できる。

成瀬先輩は成績もトップクラスみたいだし、わかりやすく教えてくれそう。


「……あ」


裏通りにあった一軒の雑貨屋さん。

絵本の中に出てきそうな、こじんまりとした可愛らしいお店だった。

学校の近くなのに、普段通らないせいでこんなに可愛い雑貨屋さんがあるなんて全く知らなかった。

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