木曜日の貴公子と幸せなウソ
私が立ち止まったので、成瀬先輩も立ち止まった。
「こういうとこ好き?」
「はい」
「じゃあ、寄ってみようか?」
「ありがとうございます!」
先輩の言葉に私が頭を下げると、おかしそうにクスクスと笑う。
「すげー、嬉しそう」
「だって、こんなに可愛らしいお店なんですよ?男の人って入るのに躊躇するかと思いました」
私と先輩は並んでお店の中に入った。
ドールハウスや小さな子どもが遊ぶようなおもちゃ。
マグカップや食器など、さまざまな種類の雑貨が並んでいる。
「うわー。ノート可愛い!あ、こっちのペンケースも!」
「萌、すげー、目が輝いてる」
「だって、可愛いんですもん」
そう答えた時、ある物が視界に飛び込んできた。