木曜日の貴公子と幸せなウソ
ピンクのビーズの物と、ブルーのビーズの物。
二つ並べてみると、付き合っている証のように見えて、ワクワクする。
「ほら、名前で呼んでよ」
「あ、えっと、くに……あき?」
「何で疑問形?」
「だ、だって、用もないのに名前を呼ぶなんて……」
私が口ごもると、先輩はハハハと意地悪そうに笑った。
「いいよ。今はそれでオッケーだけど、これからはちゃんと呼んで」
「……うん」
うなずくと、先輩はストラップをレジに持って行った。
「ありがとうございました!」
レジにいるお姉さんが丁寧に頭を下げてくれる。
先輩は受け取った包みを私に一つ差し出した。
「カップルで付けると、幸せになれるってさ」
「え?そうなの?」
「いや、オレが勝手に作った」
包みを開けて、先輩は自分のケータイにブルーのビーズのストラップを付ける。