木曜日の貴公子と幸せなウソ
これからきっと成瀬先輩の事をどんどん好きになっていく……。
そんな予感がした。
オトナっぽいかと思ったら、不意に子どものように無邪気な表情になる。
優しいかと思ったら、イジワル言ってからかって。
だけど、最後はちゃんとあたたかい物をくれる……。
「先輩。……私も好きです」
「……マジで?」
「マジです」
袖をつかんで言うと、先輩は満面の笑みになった。
「ありがとう。……これからよろしくな」
先輩は私を抱き寄せて、耳元で囁いた。
コクリと小さくうなずいて、先輩の胸に頭をあずける。
ずっと並んで歩いて行けると、信じて疑わなかった。