木曜日の貴公子と幸せなウソ
崩れる関係
16歳の私は、まだまだ幼かったのだろう。
よく考えていたら、もしかしたら引き返せたかもしれなかったのに。
舞い上がっていて、何も見えていなかったんだ。
「萌さ、彼氏と上手くいってる?」
クリスマスやお正月。
初めての彼氏である成瀬先輩と、イベントを楽しんだ私。
冬休みが明けて、3学期が始まった。
始業式の最中、リサがコソッと後ろから小声で話しかけて来た。
「うん?順調だよ?どうして?」
「あ、うん。順調ならいいんだ……」
ニコニコとしながら答えた私に対して、リサは言葉を濁した。
不思議に思いながら私は首をかしげる。
「リサ?」
「……見たんだ。2日に駅ビル行った時、萌の彼氏が女の子と一緒にいるところ」
リサの言葉に頭から冷水をぶっかけられたような感覚が、私を襲った。