木曜日の貴公子と幸せなウソ
7年前。
リサに予告した通り、2月から私はバスケ部に入部した。
最初はついて行くのに精いっぱいだったけれど、先輩の事を考える余裕がなかったので、逆に助かった。
その間に、街中で妊婦と歩く成瀬先輩の姿を見たという人が増え、卒業したら先輩は結婚するのではという噂が広まった。
リサに先輩と終わった事を打ち明けたのはその時だ。
ただの噂ではなく、私は自分で見聞きした事をリサに話した。
リサは黙って話を聞いてくれて、最後には私と一緒に泣いてくれた。
先輩にどういう事なのか、問い詰めるべきだというリサを制止した私。
もうこれ以上、傷つきたくはなかったんだ。
そして、私は卒業式前日にある予行練習の日と卒業式は学校を欠席した。
それから成瀬先輩には会っていなくて、無理やり自分の中に押し込めた感情も、やっと忘れられたというのに……。