木曜日の貴公子と幸せなウソ


「……ないとは思うけど、一応言うわ。不倫だけはダメ」

「ないっ!絶対にない!」

「……だよね」


フーッと長いため息をついたリサ。

私は首を横に振って、全否定。

不倫なんてするつもり、ない。



笑われるかもしれないけれど、短大を卒業する前に担当教官がみんなの前で言ったんだ。


「幼稚園教諭という職に就くにあたって、2つ心にとどめておいて下さい」


2本指をたてて、きびきびとしてその教官は言った。


「ひとつ。やめたくなっても、年度を終えるまでは絶対にやめない事。担任を受け持った場合、子どもにとって途中で担任の先生がいなくなるという事は、精神的に大きなダメージを受けます。なので、絶対に何があっても、その1年間は責任を持って貫いて下さい」


私も含めてだけど、聞いていた生徒たちはウンウンとうなずきながら、教官の話を聞いていた。


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