木曜日の貴公子と幸せなウソ


何で私、こんなに動揺しているんだろう?

7年前に先輩はこんな家庭を作っているんだって、予想していた事なのに。

落ち着け、私……。


「そっか。すごく綺麗だね。本当にもらっていいの?」

「うん!いいよ!」

「どうもありがとう……」


エミちゃんの笑顔に、私も笑顔で応えるけれど、複雑な気持ちでいっぱいだった。

花を受け取ると、エミちゃんは私に手を振り、自分のクラスの玄関へと行ってしまった。

幸せそうに笑うエミちゃん。

両親から愛情をたくさんもらっているんだろうなぁ……。


『自分の子どもが生まれたら溺愛する』


先輩はエミちゃんに、たくさんの愛を注いでいる。

あの時セリフは口だけじゃなく、ちゃんと責任持って実行されている。


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