木曜日の貴公子と幸せなウソ
きっと、私がまずいと思っている状況を先輩は理解しているんだ。
だから、そんな無茶苦茶な選択肢を出したに違いない。
「……わかりました。食事、行きます」
「そう答えると思った。車停めてあるから、来てくれる?」
「……はい」
渋々答えると、先輩は嬉しそうな顔で歩き出した。
顔を合わせないようにしようって決めたのに。
何でこんな風に会っちゃうのよ……。
意外にも幼稚園の近くに車は停まっていた。
ファミリー用のミニバンタイプの車かと思ったら、セダンタイプの普通車。
「どこ乗ろうとしてんの?助手席に乗ってよ」
「……え」
後部座席のドアに手をかけたら、先輩に遮られた。