木曜日の貴公子と幸せなウソ
……やめよう。
いくらこの人が私のトラウマの元凶だとしても、今は完全に違う世界の人。
私は私で、この人はこの人の世界がある。
昔の事を持ち出すのはやめよう。
何の得にもならないし、嫌な思いをするだけだ。
オトナならそんな対応をしないと。
「……片山さん。こういう事はもう今後一切ナシでお願いしますね」
「え?何で?」
「な、何でって……」
いちいち説明しなければわからない話でもないでしょうに。
先輩はきょとんとしたような不思議そうな顔をしている。
「……あなたは保護者であり、私は幼稚園教諭です。何もない関係でも、幼稚園関係の人が見たら、大騒ぎになりますよ」
「大騒ぎって……。別にいいんじゃない?見られても」
「……は?!」
いいわけないでしょうが。