木曜日の貴公子と幸せなウソ


……なんて、都合よく考えすぎか。


「萌先生ー夏江先生ー。ごめん、ちょっと手伝ってー」

「あ、はいー!」


顔を覗かせたのは年少組の担任の美雪先生。

美雪先生は私と夏江の2年先輩。

ここに就職したばかりの時、美雪先生が色々と親身になって教えてくれた。

もちろん今でも、困った時にアドバイスをもらっている。

私と夏江は作業をしていた手を止めて、廊下に出た。


「倉庫から作品展の看板を出しに行くから」

「はーい」


作品展の看板は、毎年キレイに装飾しなおしている。

終わったら装飾を外して、看板を倉庫にしまう。

そして行事が近づいてきたら、出して装飾をするという繰り返しだ。


「作品展終わったらクリスマス会の準備だねー」

「2学期は本当にあっという間ですね」


美雪先生の言葉に夏江が同調する。

その横で私もウンウンとうなずいた。




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