私のパートナー
「ダメです!それは出来ません!!」
私は強い口調で一哉さんを促す。
敬語とかタメ口とかそんなの考えてられない。
私のせいで仕事に穴を開けるわけにはいかない。
「あと1社は亀沢製薬のお得意様です!今年度の挨拶回りを先延ばしには出来ないっ!」
「んなことは分かってるっつーの。でもな、俺一人ではいかない。ってか、行けないんだよ。お前の紹介もあるんだぞ?」
「だから私も行くのっ!」
「菜央!いい加減にしろ。仕事は心配すんな。」
「イヤです…!!一哉さんが一生懸命なのに…私にだって仕事のことを心配させてください!」
譲らない。
私は数日間だけどずっと一哉さんと一緒にいて
この人が何倍も働いてることを近くで見てきたんだもん。
誰よりも…一哉さんの近くで…。
「菜央………。」
「お願い…一哉さん…あと1社だから…私、大丈夫だから!一哉さんの手当てのおかげで歩いても痛くないっ!」
そう強く言うと…
「…ちょっとの間だけ…ガマンな…。終わったらすぐタクシー拾って会社に戻るぞ。」
「っ!はいっ!」
「あ、それと。戻ったらまた足見せろよ。明日まで引きずらないようにちゃんと手当てすっから。…約束な。」
心配そうに私を見つめる一哉さん。
本気で心配してくれてるんだ…。
さっきまでの罵倒され具合から一変してて…。
どれが本当の一哉さんなのか分からない。
でも…
きっとすごく優しい人なのは間違いない…。