私のパートナー
「顔。赤いけど熱でもあんのか?」
「なっ…!!ありませんっ!赤くないですから。」
この人…分かって言ってるの?
優しいんだか、意地悪なんだか…
「ほい。完了。…お疲れさん。」
「ぁ、ありがとうございました…」
「ん。荷物持って帰るぞ。」
「えっ??」
「えっ?じゃねーよ。もう今日の仕事は終わっただろ?」
「ま、まぁ…。」
「なら、帰るぞ。送ってくから。」
「ぃゃ…その…」
「お前、その足で歩いて帰るつもりなのか?」
う……。
それは…
「また歩いて足痛くなられても困る。さっさとしろ、社長命令だ。」
「っ!!は、はい…。」
社長命令とかズルい。
逆らえるわけないし!
仕方なく一哉さんについて行く。
地下の駐車場に着き、一哉さんが乗り込もうとした車は シルバーの外車。
これ…絶対高い…。
ちょっとやそっとじゃ買えるものじゃない…。
「早く乗れ。置いてくぞ。」
「はっはい!」
助手席に乗り込むと一哉さんの香りがする。
今日のお姫様抱っこを思い出してしまう…。
あの時と同じ匂い…。
スッキリしてるのにどこか色気を感じさせる甘さ。
だけど心地よい香りが身を包む。
一哉さんの運転で車は動き出す。
意外…一哉さんって送迎車とかで会社に来てるのかと思った…。
「何見てんだよ。」
「へっ??」
「さっきから人の顔見すぎだろ。」
えっ……そんな見てたかな…。
…見てた…かもしれない…。
「なんでもない!」
「あっそ。」
「あっ、あのっ…私の家の場所知ってるの…??」
「あ゛?当たり前だろ。」
マジ??
「ぷ、プライベートなのに!!」
「はぁ?お前にプライベートもクソもあるか!犬はご主人様に飼われてんだろ。」
むかつく…こいつ…。
「犬じゃないし!」
「手のかかる犬だろ。」
「最低ー!誰のために働いてると思ってんのよ!」
「ぎゃあぎゃあうっせーよ。誰のためだと?俺のために決まってんだろ。」
「だっ、だったら犬扱いしないで!」
「ご主人様に噛み付いていいのか?雇ってやってんのは俺なんだけど?」
「ぅ…。」
「分かればよろしい。」
ムカつくっ!!!
何なの?
やっぱ最低。
優しいとか一瞬でも思った自分がイヤ!
騙されるな私!
こんな人がご主人様??
あり得ない。
だいっきらい!
車は迷うことなく私の家の前に着く。
「ん、着いたぞ。」
「…ありがとうございます!」
「なに、拗ねてんだよ。」
「拗ねてないです!!」
「拗ねてるから敬語になってんだろ?」
「なってません!送ってくれてありがとうございました!お疲れ様です!」
「…お前なぁー!!」
私は足早に助手席から降りてドアを閉じる。
送ってくれたからには見送らないわけにはいかない。
仕方なく車の方をみて立つ。
でもなかなか車は出る様子がない。