私のパートナー
ボーッとしてると横にいる若い2人組の女の子たちが私達のを見てなにやらひそひそと話している。
「…おい。」
耳元で一哉さんがボソッと呟く。
「はい?」
「逃げるぞ。」
「は?」
なぜ?っと問いかけるのを待たずに彼は私の手を握り人混みの中を駆け抜ける。
「かっ、一哉さんっ!」
私たちが走るとなぜかその女の子たちも追いかけてくる。
「やっぱりぃーー!?あれ、絶対あの亀沢一哉だよっ!」
そう言いながら追いかけてくる女の子達をまくように駆け抜ける。
水族館の経路なんかすっ飛ばして
少し暗闇の深海ゾーンに逃げ込んだ。
「…っ…ここなら平気か…」
軽く息を切らして壁に寄りかかる一哉さん。
ふと、我に帰ると私の手にはしっかりと彼の手が重ねられている。
どうしよう…。
いきなり離すのも不自然??
「あっ…の…一哉さん…」
「ん?」
そう言って赤面してる私を見て
彼がハッとする。
手を話してなぜか沈黙が続く。
「ごめん…。」
「いえっ、」
「…人混みの危険はここにあるんだよな…。」
そうか…。
この人は…有名人なんだった。
だからサングラス…。
「今までも追いかけられること…あったの…?」
「あぁ。会社の周りを歩く分にはオフィス街だし、OLたちは騒がないけどな。」
「…知らなかった…です。」
「そりゃ、知らねーだろ。前は女子高生に会社まで押しかけられたこともあったな…。」
そう苦笑いして髪の毛をクシャッとする。
「ごめん…なさい…。」