私のパートナー

「何か、お持ちするものございますか?」

荷物を運んでくれたホテルマンが俺に問いかける。

「…こいつが目を覚ましたら食べられそうなものを…フルーツとか…頼めますか?」


「かしこまりました。」



そう言って部屋を後にする。


菜央をベッドに寝かせる。

ひとまずタオルを濡らして絞り、菜央の額に乗せてみる。


なんでこいつは…
熱なんかだしてんだよ…。


数分するとホテルマンがフルーツを持ってきてくれた。


「では、また何かございましたら…。」

「どうも…。」

バタンと閉められたドアの音でか
菜央がモゾモゾと動き出す。


重そうに瞼が開き、うつろな瞳が俺を捉える。


「…なんでぇ…一哉さん…仕事ぉ…。」

いつになく弱々しい声は涙ぐんでいる。


「仕事は終わった。」


「…ごめんなさぁぃ…。わたし…」


寝ぼけているのか、熱のせいか
起きあがってもイマイチ身体に力が入っていない…。

こいつ…大丈夫なのか?


心配になって肩を支えると
菜央の身体は汗ばんでいた。

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