彼はアイドル
「早く、着替えろ~!」

というお兄ちゃんの叫ぶ声が、家中に響き渡った。


「ちぇっ―・・・、せっかく行ってあげるっつったのに。」


ブーと口をとがらす。お兄ちゃんったら、いつも偉そうなんだからあ!

クローゼットをのぞき、一つため息をつく。

私にとって、勝負服とは全くといっていいほどないのだ。

「ワンピース、着てみよっかな・・・」


花柄のワンピースを見て、悩む。スカートは基本的買わない私は、スカートが大の苦手。


でも・・・っ!やっぱりオシャレして買い物はしたいし。

お兄ちゃんのことだから、オシャレな街にでも行って、無理にでも高級なもの、買うんだろうな―・・・


「よし・・・着よっ。」


ワンピースに袖なしの丈の短い、ジージャンを合わせ、ブーツをはくことにした。


全身鏡で、チェックしてから階段を降りると、洗面所に向かい、蛇口をひねり顔を洗って歯磨きをした。

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