彼はアイドル
「なっ何?」

『あのね、今から会える?』

突然の誘いに心臓がドクンッとはねた。何か嫌な予感がするよ―・・・

「おい!未羽、行くぞ!」


お兄ちゃんの声が聞こえる。そうとう怒っているみたいだ。

お兄ちゃんの誘い<雅の誘いだ。ふつーに。


『あっゴメン・・・無理だよね。いいよ。じゃあね。』


一方的に切られた電話。携帯を見ながら少しの間佇んでいた。

はっと我に返り、リビングへと向かうと待ちくたびれたお兄ちゃんの姿。


「ゴメンッ・・・!行くわ。」


こげ茶色のブーツを履き、白色の小さなバックを持った。

何はともあれ、お兄ちゃんが先に言ったんだから、優先しなければいけない。


―そう、心の中で決め込んだ。


無理やりにでも。




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