彼はアイドル

「はあ・・・だってさ?ちゃんとしたデートもしたことないんだよ?有り得る?そんな話!」


「まあまっ!もー一個、ハンバーグあげるからさ?」



おっ気が利く―。じゃなくてさっ!


と心の中で思いつつ、貴重な優月のおばさんの手作りミニハンバーグを口にする。



やっぱ美味し―!



優月は本当に私がそれで(ハンバーグ)、機嫌が良くなったと思ったらしく、満足そうな顔をしていた。



「誰からも人気な彼なんて、私は嫌だなー。」


「当たり前じゃんっ!ってか本当に付き合ってんのかって心配になるくらいだよ。いつも。」


「でもさー。彼に『付き合って』て言われたんでしょ?」


ようやく食べ終わったお弁当箱のナフキンを包みなおしながら言った。



「えっもしかして・・・言われて無いわけ?」


だいぶ、黙ってると優月は勘付いてしまったらしい。


でも、言われたことは言われたんだけど。




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